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ボツリヌス注射
ボツリヌス注射(ボトックス、ゼオマイン注)
当院で行うボツリヌス注射は、美容目的のものではなく、治療目的であり保険診療です。
ボツリヌス注射とは
当筋弛緩作用のあるA型ボツリヌス毒素を直接筋肉に注射し、硬くなった筋肉を弛緩をさせる治療です。
「施用者資格が厳格に定められていること」、「リハビリテーション科専門医が少ないこと」から施注できる医療機関が限定されていますが、痙縮に対しては有効性が高い治療と言われています。脳卒中ガイドラインでも、GradeA(行うように強く勧められる)として推奨されている数少ない治療でもあります。
国内で保険適応として使用可能なものは以下の2種類です
2010年から国内で使用可能になっている「ボトックス注射」
2020年から国内で使用可能になっている「ゼオマイン注射」
ボトックス注は、過去の実績も多く、ガイドラインでも多くの実績がある薬剤です。
ゼオマイン注は、2020年に国内で承認された薬剤です。国内実績は少ないですが、ボトックス注を精製し無駄なところを排除してくれたものです。ゼオマインは薬剤費用も抑えられており、ボトックスの半額程度です。
このような方におすすめ
当脳卒中(脳梗塞、脳出血)後の痙縮がある方、脳性麻痺や神経疾患のため痙縮がある方が対象です。筋肉の痙縮程度を表すMAS(Modified Ashworth Scale) 1-3の方が適応になります。
・見た目が気になる
・着替えがしにくい、介護の妨げになる
・突っ張ってしまって痛みがある
・指が広げにくい(指が広げられなくて手のひらが不潔になってしまう)
・足関節が伸びてしまう、内側に入ってしまう(内反尖足)
・内股のようになってしまう(ハサミ足)
等々、痙縮の出る部位によって、症状は多彩になります。特に、上記の方は良い適応になりますので、ご相談ください。
MAS(Modified Ashworth Scale)
0
筋緊張の亢進はない。
1
軽度の筋緊張亢進がある。引っ掛かりとその消失、または屈曲・伸展の最終域でわずかな抵抗がある。
1+
軽度の筋緊張亢進がある。明らかな引っ掛かりがあり、それに続くわずかな抵抗を可動域の1/2以下で認める
2
よりはっきりとした筋緊張亢進を全可動域で認める。しかし、運動は容易に可能。
3
かなりの筋緊張亢進がある。他動運動は困難。
4
患部は硬直し、屈曲・伸展は困難。
リハ医学 39;409-415,2002
ボトックスによる効果
投与後7日程度で筋弛緩による効果を実感でき、3-4ヶ月程度でその効果は消失します。投与後1ヶ月時点では、70-80%の方がMAS 1程度の改善が得られるとの報告があります。ただし、筋の短縮や固縮となってしまっている方には効果が現れにくいです。投与後、時間と共に痙縮が元通りに戻った時には3ヶ月毎に再投与が可能です。
ボトックス注射 施術の流れ
全身の筋肉を評価し、可動域とMASの評価を行います。施注部位と施注単位数を決定し、超音波ガイド下でボツリヌス注射を行います。当院では、表在の大筋群以外には超音波機器を用いて確実に目的筋に注入する方法を導入しています。
ボトックス注射 よくある質問
持続期間はどれくらいですか?
1週間くらいから効き始め、2-4週間時点で最も効果があり、3-4ヶ月で効果が消失すると言われています。
身体に害はありませんか?
注射であり、穿刺部位の感染、出血の可能性はありますが、重大な事象を起こすことは稀です。発熱が起きることも稀にあります。また、高容量を投与する場合には5%程度に遠隔筋の筋出力低下も発生したとの報告があります。
投与によって麻痺が良くなるのですか?
麻痺の治療薬ではありません。ただ、屈筋郡の痙縮が高くなり伸展筋群が負けてしまっている方の屈筋群にボツリヌス注射をすると、良い具合に屈筋群が緩み、あたかも麻痺が良くなったかのように動作ができるようになることはあります。