top of page
カウンセリンググループ

溶連菌感染症

溶連菌感染症(溶連菌による急性扁桃炎)について

溶連菌感染症は、「A群レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)」という細菌によって起こる感染症です。特にのどの痛みや発熱を伴う急性扁桃炎として発症することが多く、大人も子どももかかる可能性があります。

大人・子どもに共通する症状

高熱(38℃以上のことが多い)、強いのどの痛み

加えて小児に多く見られる症状

発疹、腹痛や嘔吐、中耳炎、副鼻腔炎

診断方法

従来の迅速抗原検査に加えて、2023年8月から15歳未満の方には「迅速PCR検査」も保険適用になりました。
迅速PCR検査は偽陰性(本当は感染しているのに誤って『陰性』と出てしまうこと)が少なく、また、疑陽性(本当は陰性なのに、陽性としてしまうこと)も少ないため、非常に優れた検査法です。
当院は、「迅速PCR検査」の適応がある方は、積極的にPCR検査を行っております

治療

第一選択はペニシリン系抗菌薬(例:サワシリン)です。10日間しっかり内服することで合併症の予防につながります。抗生剤アレルギーのある方には別の抗菌薬を処方しますのでご相談ください。
また、症状が良くなっても、必ず10日間飲み切ってください。

抗菌薬を飲み切る理由

溶連菌感染後にまれに起こる重篤な合併症である「リウマチ熱」を予防するためです。抗菌薬をしっかり10日間内服することで、リウマチ熱の発症リスクを90%以上減らすことができます。(Robertson KA, Volmink JA, Mayosi BM.
「Antibiotics for the primary prevention of acute rheumatic fever: a meta-analysis]BMC Cardiovascular Disorders, 2005;5:11.)

リウマチ熱とは

溶連菌に対する免疫の異常反応で起こる全身性の炎症性疾患です。おもに5~15歳のお子さんに発症します。
症状:心筋炎や弁膜症、多発関節炎、神経炎(手足が勝手に動くなど)

再受診のめやす

溶連菌による扁桃炎は抗生剤内服と対症療法で多くが治癒しますが、発症直後から治癒後約1か月のあいだ、合併症に注意が必要です。

発症直後~治癒までに気を付けるべき疾患:扁桃周囲膿瘍

溶連菌による急性扁桃炎は1~2%の確率で扁桃周囲膿瘍という緊急性の高い病態に進展します。
扁桃周囲膿瘍は窒息のリスクがあり、重症度によっては直ちにメスで切開排膿し治療する必要があります。
当院では採血・上気道狭窄音・頚部エコー検査により重症度(頚部膿瘍の進展、縦隔炎の合併など)を評価しています。
重症度の評価後、耳鼻咽喉科での外科的な治療が必要な場合は、当院より適切な医療機関に受け入れ可否の確認を行い、迅速な入院加療を行えるよう対応いたします。

扁桃周囲膿瘍や後咽頭膿瘍を疑うサイン

「喉の片側だけがかなり痛くなってきた」、「口が開きづらくなってきた」、「息がしづらくなってきた、呼吸が苦しい」、「しゃべりづらい(『ふがふが』しゃべるような感じ)」、「首が痛くて曲げられない」

患者さんご自身では判断が難しいことが多いかと思います。扁桃周囲膿瘍は「まだ大丈夫だろう」と様子を見ていると思わぬ速さで病状が進展することがある疾患です。少しでも気になった方はお気軽に再度ご相談ください。

治癒後1~3週間以内に気を付けるべき疾患:リウマチ熱、PSAGN(溶連菌感染後急性糸球体腎炎)

解熱、咽頭痛が治癒してから1~3週間以内に、以下のような症状があれば再受診をお願いします。

息切れ、胸の痛み/関節の痛みや腫れ/手足が勝手に動く/顔やまぶたのむくみ/赤褐色(コーラ色)の尿

必要に応じて、採血・尿検査・心電図・胸部レントゲンなどを行います。重症例では高度急性期医療機関への紹介も行います。

PSAGN(溶連菌感染後急性糸球体腎炎)とは

溶連菌感染後の免疫反応によって腎臓の糸球体に炎症が起こる病気です。特に5〜12歳がなりますがまれに大人でも発症することがあります。コーラ色の血尿や顔・目元のむくみが典型的な所見です。
基本的には自然によくなりますが、まれに急性腎障害、慢性腎不全に進展する可能性があるため医療機関での経時的なフォローが必要となります。

最後に

血尿や下腿浮腫が無い場合には、抗菌薬内服後にルーチンで尿検査を行う必要はありません。

感染症別 感染性・登校登園基準一覧 2025.6.1

八軒内科.png

札幌市西区八軒5条西1丁目1-57

ビル目の前に駐車場11台分あり

<代表(外来)>

TEL/011-500-2498

FAX/011-351-2948

<訪問診療部>

TEL/011-624-5238

FAX/011-213-7298

Copyright (c) 八軒内科ファミリークリニック  All Rights Reserved.

bottom of page