百日咳のPCR検査が当院で可能になりました
- 高田 平和医療
- 4月10日
- 読了時間: 3分

~長引く咳、もしかしたら百日咳かもしれません~
「風邪が治ったはずなのに、咳だけがずっと続いている」「夜になると咳がひどくて眠れない」「家族に赤ちゃんがいるけれど、この咳はうつらないだろうか」――そんなお悩みはありませんか?
百日咳(ひゃくにちぜき)は、その名の通り咳が数週間から数ヶ月にわたって続く感染症です。特に乳幼児では重症化のリスクがあり、大人が気づかずに感染源となってしまうこともあるため、早期診断と適切な治療がとても重要です。
百日咳とは?
百日咳は「ボルデテラ・パータシス菌(Bordetella pertussis)」という細菌によって引き起こされる急性呼吸器感染症です。感染すると、最初は軽い風邪のような症状(鼻水・くしゃみ・微熱など)から始まりますが、その後発作性の激しい咳が出るようになります。咳の後に「ヒューッ」と音を伴う吸気が起きるのが特徴で、特に小児では典型的に見られます。
ただし、大人やワクチン接種を受けた子どもでは典型的な症状が出にくく、単なる長引く咳として放置されやすいのが問題です。
百日咳の診断方法
百日咳の診断にはいくつかの方法がありますが、以下が主なものです:
鼻咽頭ぬぐい液のPCR検査(遺伝子検査)
鼻咽頭分泌物の培養検査(感度が低く、時間がかかる)
血液中の抗体検査(発症から2~3週以降に有用)
これまで、発症初期に確実な診断をつけるのは難しいとされてきましたが、当院では新たに「百日咳のPCR検査」を導入しました。このPCR検査では、少量の鼻咽頭ぬぐい液から百日咳菌の遺伝子を検出でき、発症初期から高感度・高精度で診断することが可能です。結果も比較的短時間で得られるため、迅速な対応につながります。
百日咳の治療
治療にはマクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン、エリスロマイシン、アジスロマイシンなど)が使用されます。抗菌薬は症状が出てから早い段階で使用するほど効果が高く、菌の排出を抑制し、他人への感染リスクを減らすことにもつながります。
なお、咳そのものは感染後期には菌が消失していても続くことがあるため、抗菌薬の効果=すぐに咳が止まるとは限りません。その場合には咳止めや吸入など、対症療法を併用していきます。
特に注意が必要な方
乳幼児(特に生後6か月未満)
→重症化・呼吸停止のリスクあり。ワクチン未接種が多いため要注意。
妊婦や高齢者と同居している方
→咳が長引く場合は早めの検査・診断が重要。
咳が2週間以上続いている方
→一般的な風邪と区別がつきにくく、放置されがちです。
百日咳は「予防」と「早期診断」がカギ
百日咳はワクチン(DPTや四種混合)で予防が可能ですが、その効果は時間の経過とともに薄れていくため、成人でも再感染することがあります。特に小さなお子さんを育てているご家庭では、大人が無症候や軽症で感染し、知らず知らずのうちに子どもにうつしてしまうケースも少なくありません。
そのため、「咳が長引いている」「家族に免疫が弱い人がいる」という場合には、お気軽にご相談ください。
当院の対応について
当院では、百日咳をはじめとする感染症に対して、迅速で正確な診断と適切な治療を提供することを目指しています。今回導入したPCR検査によって、これまで以上に早期診断・早期治療が可能となりました。
「長引く咳が気になる」「風邪とは違う感じがする」など、少しでも不安なことがあれば、お気軽にご相談ください。小さなお子さま連れの方でも安心して受診できる環境を整えております。
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