近年新たな感染症の発見が相次ぎ「発熱外来」という言葉をよく耳にするようになりました。
全身防護服を着用し、マスク・ゴーグル・手袋を装着した医師や看護師が診察している様子をテレビで見かけた人も多いのではないでしょうか。
発熱外来を受診したことがない人にとっては、発熱外来とはどういうものなのか?なぜできたのか、どのような検査や治療が行われるのか、気になりますよね。
ここでは発熱外来の目的や一般診察との違い、受診の流れ、発熱外来を受診したことにより別の病気の発見が遅れるなどの注意点について解説します。
発熱外来で行われる診察内容を理解して、対象の症状が現れたときに焦らずに対応できるため、参考にしてくださいね。
発熱外来とは
発熱や咳・鼻水・のどの痛みなどの風邪症状がある患者さんに対して、通常の診察室ではなく個別に設置されたスペースで診察を行うことを言います。
発熱外来という発想は、2002年に中国を起源に東アジアやカナダで大流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)のときに始まりました。
SARSとは、発熱や寒気、関節痛などインフルエンザと似たような症状が起こる病気であり、明確な治療法は確立されていません。抗菌薬や鎮痛解熱剤など、出ている症状を緩和するための薬を投与して様子を見ます。
感染者の20%は呼吸困難や重症肺炎に移行し、集中治療を必要とする状態になりました。
症状が出現する前からウイルス排出があると言われており、また、症状が出た後に検査をしてもウイルス量が微量のため検出されないこともあります。SARSと診断されていないために、外に出て感染者が気付かないうちにウイルスを広めている危険性が考えられました。
通常の診察と発熱や風邪症状を診察するスペースを分けることで、SARSの感染拡大を予防しようと考えたのが発熱外来の始まりです。
2009年には、メキシコやアメリカで今までに見たことがないウイルスが発見されたと発表され、新型インフルエンザと呼ばれて恐れられました。
感染拡大を防止するべく、都道府県各地に発熱外来を設けて対応していたことを覚えていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
こうして発熱外来という発想が定着し、現在は新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するために、発熱や風邪症状など感染症が疑われる症状の患者さんに対して、個別で対応しています。
発熱外来の対象になる症状とは?
日本の感染症法によると【発熱とは体温が37.5℃以上を呈した状態をいい、高熱とは体温が38.0℃以上を呈した状態】と定められています。
(引用:「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」)
都道府県各地に設置されている発熱外来は、37.5℃以上の発熱に加えて、咳や鼻水・のどの痛みなどの呼吸器に関わる症状が見られる場合は、発熱外来の対象としているところが多いです。当院は、発熱がなくても風邪のような症状が出ている人は、発熱外来で対応しています。
例えば前日に37.6℃の熱があり、受診をしようとした当日に36.7℃まで下がっていたから一般の外来を受診しようと考えますよね。
ただ、この場合は一度発熱していることから、翌日熱が下がったとしても発熱外来の対象としています。
発熱外来か、一般外来かどちらに受診しようか悩んだ場合は、受診先の病院に問い合わせて確認するとよいでしょう。
発熱とともに起こりやすい初期症状
発熱には主に以下の3つの原因が考えられます。
ウイルスや細菌の感染
発熱の原因で最も多いのが感染症です。上気道(喉)、下気道(肺)、尿路系、消化器系、皮膚などのどこに感染があるのかを判断するのが大切です。
身体の中に細菌やウイルスなどが入り込むことで、体内の免疫細胞が活動を始めます。
免疫細胞の活動が活発になると炎症反応物質が産生され、体温が通常より高い温度になるように調整されます。そのため、体温がそのセットポイントに向けて上昇します。
感染症以外の病気
がんや膠原病などの病気が原因の場合があります。がん(悪性腫瘍)は熱を発生させる物質を出していることから、腫瘍熱と呼ばれる発熱が起こります。膠原病は自分の免疫細胞が自らの身体の細胞を攻撃することで炎症を起こす病気の総称です。代表的な病気は、間質性肺炎・関節リウマチ・全身性エリテマトーデスなどがあります。
体温調節機能の乱れ
熱中症や心因性発熱など感染症でもがんなどの病気もないのに、発熱することです。熱中症は体内に熱がこもるため高熱になります。心因性発熱はストレスを抱えると交感神経が活発になる時間が長くなり、発熱物質が多く排出されることで発熱すると言われています。
解熱剤は、体温のセットポイントを下げて解熱させる効果があります。解熱剤を使った方が治癒期間が長くなるという明確なデータはなく、発熱があり、辛い時には解熱剤(アセトアミノフェン)を使うことで体力の温存につながります。
感染症による発熱とともに起こりやすい症状
ここで、感染症による発熱とともに起こりやすい症状について解説します。
【咳】
咳はのどに侵入したウイルスや細菌、ほこりなどの異物を外に出すための防御反射です。風邪を引くと咳が出るのは、異物を外に出そうとするためだと分かりますね。
【咽頭痛】
のどの痛みはウイルスや細菌がのどに付着し、炎症を起こすことで感じます。炎症を起こしているため痛みに加えて発熱します。
【鼻水】
鼻水は大量の分泌液を出して鼻に入ってきた異物を洗い流したものです。色は透明や黄色、緑がかったものなどが見られます。透明な鼻水は異物を洗い流したもの、黄色や緑は細菌やウイルスが混ざった色と言われています。
【頭痛】
発熱とともに現れる頭痛には、原因がはっきり分かっていません。頭痛は血管の収縮や拡張によって起こるものや、気圧の変化によって起こるものなど、さまざまな原因が考えられています。発熱とともに現れる頭痛は、血管の収縮や炎症物質により起こると考えられています。
【関節痛】
インフルエンザになると関節痛が強く、辛い経験をした方もいるのではないでしょうか。
体内の免疫反応が起きると、プロスタグランジンが作られます。プロスタグランジンは発熱や痛みを発生させる作用があるため、発熱とともに関節痛が起こると考えられています。
疑われる病気
発熱の主な原因は感染症です。主な感染症を2つ紹介します。
上気道、下気道感染症
鼻や口から細菌またはウイルスが入り込むことで炎症を起こします。
代表的な病気は気管支炎や咽頭炎です。
咳、鼻水、のどの痛みがあり風邪と同様の症状が現れることが多く、ウイルスや細菌がさらに奥に入り込むと肺炎を起こす危険があるため、早めに受診して治療を開始しましょう。
治療には、咳止めや痰を出しやすくする薬、熱が高い場合は解熱剤が処方されることもあります。栄養補給して、ゆっくり休むことで早く回復するため、体調不良の時は横になって休むようにしましょう。
尿路感染症
尿道から細菌が入り込むことで膀胱や腎臓などに炎症を起こします。
代表的な病名は膀胱炎、尿道炎、腎盂腎炎です。多くは尿道から膀胱、尿管、腎臓へと細菌が入り込むことで発症し、尿道が短い女性が発症しやすい傾向があります。
排尿時の痛みや残尿感が見られ、腎臓まで炎症が広がると背中や腰に痛みを伴います。腎盂腎炎まで発展してしまうと、細菌が全身に広がり敗血症を起こす危険があり命にかかわる場合があるため、膀胱炎だからと様子を見ないで早めに受診し、軽症のうちに対処することが重要です。
発熱外来の目的
発熱外来の最大の目的は「感染症の拡大を予防すること」です。
冒頭で解説したSARSは、ウイルスが検出されるまでに10日ほどかかるため、その間に感染対策をしないまま院内に診察を受けにきた患者さんや、診察に携わった医療従事者を介して感染が広がったとされています。
院内にウイルスを持ち込まないことで感染の拡大を予防することが重要と考えられたことから、発熱外来が始まりました。
過去の経験から、発熱外来は感染の動向によって役割の変化が求められます。
2009年に世界で感染が拡大した新型インフルエンザのときの流れを確認してみましょう。
| 発熱外来の設置場所 | 役割 |
第一段階(海外で発生) | 各都道府県の保健所 | 症状が出現した患者の問い合わせに対応 |
第二段階(国内で発生し始めた時期) | 感染症指定医療機関 | 感染者とそれ以外の患者を振り分ける |
第三段階(国内での感染が拡大した時期) | 入院施設を持つ医療機関 | 感染者の重症者と軽症者を振り分ける |
現在流行している新型コロナウイルスでも、中国で感染が拡大していた時期から日本へ持ち込まれ始めた時期は、中国への渡航歴があり発熱している方は保健所へ相談することになっていましたね。
その後国内で感染者が出始めたときは、感染症患者を専門に収容可能な医療機関で受け入れが始まり、発熱すると入院措置が取られていました。
感染者が急増し、保健所や感染症専門病院だけでは受け入れ困難となった現在は、地域のクリニックでも発熱外来を設置して対応しています。(町医者こそ発熱を見るべきだと私は思っています)
感染の発生状況に応じて発熱外来の設置施設や対応が変化してきているのが分かりますね。
また持病のための定期通院や感染症とは関係ない病気で受診する患者さんの安全を守る目的もあり、感染が疑われる患者の診察は発熱外来で行っています。
発熱外来を行うためには、国の定めた施設基準(一般と発熱外来の患者さんの動線を分け 等々)をクリアしなければ行うことができません。
当院では、陰圧室や医療用の空気清浄機を複数台完備し、安全を常に意識しながら発熱外来を行っております。
発熱外来と一般外来で行われる診察内容の違い
具体的にそれぞれの外来で行われる診察の内容に違いはあるのか、表にまとめたものを参照ください。
診察項目 | 発熱外来 | 一般外来 |
問診 |
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聴診 | 胸の音を中心に聴取することが多い | 症状に応じて胸部・腹部・背部など |
視診 |
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触診 | 耳下腺や顎下腺などの唾液をつくる部分に触れ、腫れやしこりの有無を確認 |
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検査 | PCR検査、各種迅速検査、喀痰検査、SpO2、採血、レントゲン、尿検査、エコーなど | 左と同様 |
医療従事者の服装 | 感染物からの暴露の特徴に応じて
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以下に問診・聴診・視診・触診とは何か、具体的な診察方法や内容を解説します。
問診
問診とは、医師が病気を診断するために患者さんの身体の情報を入手する方法です。
病院を受診すると最初に問診表を書くことが多いと思います。
受診するきっかけとなった症状はもちろん、過去にかかったことがある病気や手術歴、飲酒・喫煙などの生活習慣、家族に糖尿病や高血圧などの病気を患っている人はいないかなどの情報は、病気を診断するために重要です。
例えば「息苦しい」と訴えて受診した患者さんに対し問診したところ、過去に心不全で通院していることが分かった場合は、心不全の悪化も優先度を高く疑います。
過去の経過を知ることで今の症状を診断する近道にもなるため、問診は重要な情報源です。
また現在内服中の薬や、過去に内服してアレルギー反応が出た薬がある場合は飲み合わせや患者さんの身体に合わない薬を処方しないために重要な情報になるため、薬手帳も持参しましょう。
聴診
聴診器を用いて体内の音を聞くことで、異常を発見する手段です。
咳や鼻水、痰絡み、息苦しさなどを訴えて受診した患者さんには胸の音を聴取しますし、腹痛や吐き気、下痢など消化器症状があれば腹部の音を聴くなど、患者さんの訴えや症状に合わせて適切な部位の聴取を行います。
身体の中ではさまざまな音が聞こえており、正常な音もあれば異常を示す音があり、医師や看護師は、正常な音と異常な音の区別がついており、適切に聴診して見極めています。
視診
目で見て診察することを言います。
患者さんの表情や顔色はもちろん、体格や皮膚の色、発疹の有無など対面してすぐに始める診察です。
例えば喉の痛みを訴えている患者さんには口を開けてもらい、赤みや腫れがないか確認します。
発疹があれば虫やウイルスがついていないか、皮膚を一部取って顕微鏡で調べるよう指示を出したり、関節などに腫れがあれば骨折していないかレントゲンやエコーを行うなど、視診により治療方針を決めています。
触診
患者さんの身体に触れて診察する方法です。
例えば、腹痛を訴えている患者さんに対し腹部に触れてどこの部分が痛むのか、押されて痛むのか、押して離したときに痛むのかを患者さんに聞きながら診察したり、足の冷感やむくみの有無などを触診で確認することもあります。
息苦しさを感じている患者さんには、腕に触れて脈拍のリズムを確認することで心臓に異常がないかも確認できます。
触診することで得られる情報は多く、病気の診断に欠かせない診察方法です。
検査
症状に応じてレントゲンや心電図、血液検査などを行うことで診断がつけられます。
診察室で行う上記のような診察方法で、医師は「おそらくこの病気だろうな」とおよその病名を予想しています。場合によっては複数の病気が考えられることもあり、より確実に診断するためには、検査が欠かせません。
間違えた診断をして誤った薬を投与したり、処置を施すことがないように、必要な検査を実施しています。
発熱外来で行われることが多いPCR検査。新型コロナウイルスが流行してからはよく聞く検査名になりましたね。
PCR検査とは、ウイルスの遺伝子を専用の薬液で増やして調べる検査方法です。
鼻の中やのどを綿棒で拭って細胞を採取して検査を行います。
ウイルスの遺伝子を調べるPCR検査は、新型コロナウイルスの検出だけではなく以下のようなウイルスの発見に活用されています。
B型・C型肝炎ウイルス
ヒトパピローマウイルス(子宮頸がんの原因となるウイルス)
がん遺伝子検査
がん患者さんの血液やがん細胞を採取して、PCR検査を行ことでがん細胞の遺伝子を調べ効果がある薬を特定するのに活用されていますよ。
発熱外来を受診するときの流れ
発熱外来を受診するときの流れは次の通りです。
WEBや電話で予約する
指定された診察時間、場所で待機
医師の診察、必要に応じて検査
帰宅
それぞれ詳しく見ていきましょう。
WEBや電話で予約する
発熱外来の受診を希望する際は、WEBや電話で予約を取ってください。
予約なしに病院へ行って「診察してください」では、医師も看護師も体制を整える準備があることから、受け入れることは出来ませんので注意しましょう。
電話で予約をとるときは以下のような内容を聞かれることが多いです。
いつからどのような症状が出ているのか
過去にかかったことがある病気
かかりつけ医の有無
持ってきて欲しいものの確認
自宅から病院までの所要時間
連絡先の電話番号
症状や過去にかかったことがある病気の経過が分かると、診察がスムーズに進むため事前に確認されることが多いです。
連絡先の電話番号は病院に到着した後呼ぶまでその場で待機してもらい、病院からの連絡を待つ場合などに使用されるため、受診するときに持参する自分の携帯の電話番号を伝えましょう。
指定された診察時間、場所で待機
発熱外来を受診する他の患者さんと重ならないように時間を区切って診察しており、受診する病院の指示を聞きましょう。当院は、細かく時間を設定してその時間にご来院いただく形をとっています。ただし、待ち時間も発生するため出来るだけ車で来ていただくようお願いしています。
病院によっては車で来院し、そのまま車内で診察することもあります。
発熱外来の受診予約をしたときに指定されることがほとんどですので、病院の指示に従ってください。
医師の診察、必要に応じて検査
順番がくると医師の診察が始まります。症状の確認や、過去の病気の有無などを聞かれ、喉を見たり胸の音を聞く場合もあります。
医師の判断により、必要に応じてPCR検査や抗原検査を行います。
当院は、院内で複数台の PCR検査装置を稼働させているため検体採取後15分程度でPCRの検査結果が判明します。
帰宅
当院は、一階に調剤薬局もありますので外に出ることなくお薬を受け取ることができます。
発熱外来の注意点
一般的な発熱外来はCOVID-19かどうかだけを調べることが目的です。発熱外来を受診してCOVID-19ではないと診断された場合は特に注意が必要です。
当院ではPCR陰性であった場合には発熱の精査として真面目に全身評価を行っています。
以下の3つの項目について詳しく解説します。
検査項目が少ない
別の病気を見落とす
新型コロナウイルスを疑われて受診できない
発熱外来を受診し、感染症が否定されれば「発熱の原因はなんだろう?」と思いますよね。他に重大な病気が隠れている場合があるため、一般的な発熱外来だけの診察だけではなく、症状が続くときはより詳しい検査を受けることをおすすめします。
検査項目が少ない
一般的に、発熱外来ではできる検査が限られているところに注意しましょう。主に行っている検査はPCR検査や抗原検査がメインのところがほとんどです。COVID-19かどうかを調べるのが一般的な発熱外来であり、COVID-19が陰性の場合にそれ以上の精査ができない発熱外来も多く存在します。
発熱外来は感染性がある感染症なのか、そうではないのかを判断する目的で設置されているため、感染性がある感染症が否定された場合は速やかに発熱の原因を詳しく調べてもらいましょう。
別の病気を見落とす
発熱の原因が感染症とは限りません。
発熱外来に受診して検査した結果、感染症ではないと診断されたとします。そのとき医師から「風邪でしょう。薬を飲んで様子を見てください」と言われたら、その通りにしますよね。
実は別の病気が隠れていて、発見が遅れてしまう恐れがあります。発熱外来はあくまで感染症拡大防止の機関であるため、感染症が否定されても発熱やその他の症状が続く場合は、早めに受診して詳しく検査してもらいましょう。
感染症以外で考えられる別の病気
感染症以外で考えられる別の病気には、以下のようなものがあります。
【がん】
がんは、細胞そのものが熱を発するため腫瘍熱が出ます。微熱が一定期間続いたり、がんの部位によっては風邪と同様の症状が出現する場合があるため、発熱外来で感染症を否定された後も同様の症状が続く場合は早めに受診しましょう。
【膠原病】
自己免疫疾患と呼ばれ、体内の免疫細胞が自分の細胞を破壊することで炎症反応を起こす病気の総称です。
代表的な病気は、関節リウマチや間質性肺炎が挙げられます。これらも最初は微熱が続いたり、倦怠感があることで感染症と勘違いしがちです。
早めの受診を心がけましょう。
新型コロナウイルスを疑われて受診できない
家族が新型コロナウイルスに感染している方や、感染が広がっている地域に行った後に症状が出た場合、新型コロナウイルスの感染が強く疑われます。
病院によっては、感染が強く疑われる場合受診できない可能性があります。
もし受診できない場合は、受診可能な病院を探すか、地域の新型コロナウイルス相談窓口に問い合わせてみましょう。
新型コロナウイルスを疑う場合は?
新型コロナウイルスを疑う場合は、かかりつけ医に問い合わせをしましょう。
家族や職場の同僚が新型コロナウイルスに感染しており、自分にも同様の症状が現れた場合は感染している可能性が考えられます。
かかりつけ医に受診して検査を受けるか、予約がいっぱいで取れない場合は検査キットを取り寄せて自宅で検査することも可能です。
地域の検査キット申し込み窓口に問い合わせをして、取り寄せましょう。
熱が40℃を越えている、息苦しさが強い、倦怠感が強く動けないなど症状が強い場合は、医療機関に相談して指示を仰ぐことをおすすめします。
発熱外来で発見できる病気とは?
発熱外来で発見できる代表的な3つの病気について紹介します。
インフルエンザ
肺炎
新型コロナウイルス
腎盂腎炎
いずれもウイルスや細菌が原因の病気であるため、症状や注意点について理解し適切に受診するようにしましょう。
インフルエンザ
インフルエンザウイルスに感染することで発症します。症状は以下の通りです。
38℃以上の発熱
のどの痛み
咳
鼻水
関節痛
頭痛
毎年11〜12月に流行が始まり、2〜3月まで感染者が増えていきます。抗ウイルス薬を内服し、安静に過ごせば軽快していきますが、普通の風邪と違い肺炎に発展したり脳炎を引き起こすなど、重症化しやすいため注意が必要です。特に抵抗力が弱い子どもやお年寄りは、インフルエンザにかからないように、手洗い・うがいなどの予防をしっかり行いましょう。
予防接種も重症化の予防に効果があるため、基礎疾患がある方や小さなお子さんは積極的に検討したいですね。
肺炎
肺炎は細菌やウイルス感染によるものと、誤嚥性によるものがあります。
細菌性肺炎・ウイルス性肺炎
インフルエンザウイルスやRSウイルス、肺炎球菌などが肺に入り込むことで炎症を起こした状態です。
痰を採取して詳しく検査することで、原因となる細菌やウイルスを特定できます。
細菌やウイルスによって効果がある薬が異なる場合があり、細菌性肺炎と診断された場合には抗生物質の投与が行われます。
誤嚥性肺炎
食べたものが気管に入り込むことで炎症を起こした状態です。
通常食べたものが気管に入った場合、咳をすることで外に出すため肺炎になることはありません。しかしお年寄りや持病により咳反射が弱くなっている場合は、異物を外に出すことができず肺炎を起こしてしまいます。
食べているときに咳込むことが多い方は、飲み込む力が弱まり誤嚥しやすい状態ですので、注意しましょう。
食べ物の形態を食べやすいものに変更する、水分にはとろみをつけるなどの工夫をして誤嚥しないことが重要です。
肺炎はレントゲンを撮らないと、細菌性か誤嚥性かなど詳しい判断ができないため、感染力の強いウイルスが検出されなかった場合は、早めに検査をして治療しましょう。
新型コロナウイルス
発熱外来にてPCR検査や抗原検査を行うことで、感染しているかどうかが分かります。
40℃以上の発熱やのどの痛み、息苦しさなどの重い症状が出る人もいれば、微熱だけの人、症状が出ない人もいます。
身近な人に新型コロナウイルスの感染者が出た場合は、無症状だとしても「自分も感染しているかもしれない」という気持ちで症状が出ないか注意深く観察しましょう。
発熱外来で治療できる病気とは?
発熱外来は、症状の元となる病気が感染症なのか、そうではないのかを区別する場所です。
感染症が特定できれば、それを治すような抗生物質や抗菌薬が処方されます。
もし感染症が特定されなかった場合は、医師の方針により院内で詳しく検査が行われることがあります。
発熱しているときは身体の水分が奪われているため、なるべく水分摂取するように心がけましょう。
成人の身体の55〜60%は水分でできています。
身体から1日でどれくらいの水分量が奪われているか、以下を参照ください。
汗:約500ml
尿や便:約1,600ml
不感蒸泄:約300ml
不感蒸泄とは、わたしたちが自覚していないところで奪われている水分のことで、呼吸や皮膚・粘膜から蒸発しています。
1日に奪われている水分量は、およそ2,400mlでした。身体の水分量を保つために、奪われてしまう水分量と同等の量が必要ですよね。
1日に必要な水分量は、科学的な根拠が証明されていないとされ、具体的に明記された資料はありません。排出される水分量を考え、水分量が不足しないよう意識して摂取するように心がけましょう。
のどが乾いたと自覚したときにはすでに脱水が始まっている状態なため、意識して細目に水分摂取するのがおすすめです。
ただし、心不全や人工透析を受けている方は水分制限が設けられている場合があります。
医師から水分制限されている方は、指示通りの水分量を守るようにしましょう。
発熱外来にかかる費用
発熱外来でかかる費用は、診察代+検査費用となります。
医師が診察した結果、検査が必要と判断されたものは公費負担となり、医療費の負担割合に応じた費用が発生します。
仮に、医師が不要と判断したが患者さんが「心配だから検査してほしい」と希望したことで実施されたものは自費になるため、覚えておきましょう。
PCR検査に関しては、公費負担で2,000〜3,000円、自己負担で20,000円前後に設定している病院が多いです。
支払いは、以下のパターンが使われています。
検査結果を聞き、感染症が確認されなかった場合は窓口にて支払う
WEB予約かつクレジット希望の方:デジスマアプリを活用して支払う
感染症の有無や病院によって支払い方法は異なるため、診察が終わるまでに確認しておきましょう。診察代金を持参しておくと安心ですね。
発熱外来を受診するときの持っていくものや服装
発熱外来を受診する際に必要な持ち物は、一般外来に受診するときと同様の場合が多いです。
概ね以下のものを持参すれば困ることはないと言えます。
保険証
診察券
受給者証(持っている方)
薬手帳
予約するときに必要な持ち物を確認しておくと、忘れ物をしないで済むため受診がスムーズに進みますよ。
万が一保険証を忘れた場合は、全額自己負担になります。同月中までに保険証を提示すれば窓口から返金されますが、自己負担額は高額になる場合があるため忘れずに持っていきましょう。
また発熱外来を受診するときの服装は前開きや腕を出しやすい服装がおすすめです。
胸の音を聞くことが多いため、すぐに胸を出せる服装で行くとスムーズに診察が進みますよ。
腕を出しやすい服装は、血圧を測ったり、場合によっては採血をすることも考えられますので、袖をまくりやすい服装がよいでしょう。
発熱外来とは感染症拡大を予防するための重要な機関
発熱外来について、この記事の内容のポイントは以下の通りです。
発熱外来とは、37.5℃以上の発熱・咳・鼻水などの症状が見られる人が受診する窓口
院内に感染症を持ち込まないこと、感染症の有無を判断するために設置されている
発熱外来ではPCR検査や抗原検査など、できる検査が限られている
感染症以外の病気が隠れていることがあるため、否定されたときは原因を詳しく調べた方が良い場合もある
受診するときは電話やWEBにて予約をしましょう
発熱している場合に最初に疑われるのは、感染症です。中には感染力が強く、安易に院内に入れてしまうと院内感染が広がるおそれがあり、慎重な対応が必要です。
特に感染症が蔓延している時期は、発熱外来を設けて感染症の有無を確認することが重要と言えます。
発熱外来の目的を理解して、発熱や咳・鼻水などの症状が現れたときに慌てず医療機関に問い合わせて指示を仰ぎましょう。
参考URL
・厚生労働省‐医療体制に関するガイドライン
・発熱外来の意義はそもそもなんだったのか‐日経メディカル
・SARS(重症急性呼吸器症候群)とは
・2009年新型インフルエンザ流行の経験から学ぶこと
・感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
・呼吸測定の意義と必要な観察項目
・厚生労働省|コロナ禍でも必要な受診を
・発熱≠コロナ 発熱外来について 新宿内科クリニック
・発熱に関するQ&A
・がんに伴う発熱への対策|小野薬品
・心因性発熱とは?ストレスが原因となって起こる解熱剤の効かない病気
・鼻水の色から考えられる疾患と対処法
・つらい風邪の頭痛、なぜ起こるの?原因や対処法を解説
・インフルエンザとは
・水は1日どれくらい飲めば良いか|健康長寿ネット
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